失業給付・手当のすべてに答えるQ&Aまとめ

退職や失業は、そう何度も経験するものではありません。しかし、退職したらすぐ、自分のことは自分でやらなくてはいけなくなります。わからないことが多くて、なんとなく不安に思っている人も多いでしょう。そんな疑問にお答えします!

失業保険は、どのくらいの金額を、どのくらいの期間もらえるの?

雇用保険に加入している人が失業し、再就職先を探す場合、求職期間中の生活を保障するものとして「基本手当」が支給されます。この基本手当の支給を受けられる日数が「所定給付日数」で、これは再就職の難易度や、雇用保険の被保険者であった期間、離職時の年齢によって決定されます。そのなかで再就職の難易度の指標となるのが、離職理由です。

自己都合の場合は事前準備が可能なため給付が少なくなり、倒産や解雇などの場合は準備が不可能なため給付の条件が諸々有利になる、と考えてください。

自己都合による退職や定年退職は、あらかじめ再就職の準備が可能なため「一般の離職者」と定義されます。そのため失業手当も少なめで、所定給付日数は被保険者であった期間に応じて90~150日になります。

一方、倒産や解雇等で離職を余儀なくされた人は、再就職への準備ができない場合が多いため、失業手当を多く受け取ることができます。「特定受給資格者」となり、所定給付日数は最大で330日、一般の離職者と比べると2倍以上にもなることがあります。

自己都合退職でも「特定理由離職者」になることも

「自分は自己都合だから、一般の離職者扱いか…」とあきらめないでください。「やむをえない理由により自己都合で退職した人」については、特定理由離職者となり、所定給付日数が伸びることがあります。やむを得ない理由とは、下記のように定義されています。参考にしてみてください。

  1. 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
  2. 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
  3. 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
  4. 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
  5. 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
    • 結婚に伴う住所の変更
    • 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
    • 事業所の通勤困難な地への移転
    • 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
    • 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
    • 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
    • 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
  6. その他、前述した「特定受給資格者の範囲」の10に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

さらに、障害により再就職が困難な人は「就職困難者」とされ、所定給付日数が150~360日となります。

雇用保険に入っていた期間と年齢

失業保険、失業手当の給付金額は、上記のような条件と、①雇用保険に加入していた期間、そして②年齢、によって左右されることになります。算出のベースとなる金額は、離職日の直前6か月に受けた、ボーナスを除く賃金総額です。その金額を180日で日割りにして、所定の給付率(45~80%)をかけて算出されます。

この給付率が曲者で、もちろん給付される側としてはできるだけ多くもらいたいものです。どういったケースだと多くもらえるかといいますと、

①雇用保険に長く加入していた(長くその会社に勤めていた)
②高齢である(※60~65歳は逆に少し減る)

という2点が考慮されます。具体的には、その会社に「1年未満/1~5年未満/5~10年未満/10~20年未満/20年以上」という区分けがあります。年齢では「30歳未満/30~35歳未満/35~45歳未満/45~60歳未満/60~65歳未満」という区分けになっています。ご自分がどこに当てはまるのかによって給付金額、給付日数は変わってきます。

失業手当をもらうにはどんな条件を満たせばいいの?

雇用保険から失業給付を受け取るには、雇用保険に加入していた期間が、離職前の2年間(24か月間)に12か月以上必要です。この際、賃金の支払い日数が11日以上ある月を1か月として計算します。つまり、毎月10日しか働いていなかった場合はカウントされないことになります。

ただし、倒産・解雇などによる離職者や、有期雇用社員が更新されなかったために離職した人、やむを得ない理由での自己都合退職、65歳以上で離職した人は、離職前1年間に11日以上賃金をもらっている月が6か月以上あれば受給資格があります。

さらに「失業の状態にある」という条件も必要です。失業の状態とは、働く意思と能力があり、身体上、環境上いつでも就職できる状態であり、かつ積極的に求職活動を行っていながら仕事に就けない状態のことです。つまり、「仕事辞めて自由を満喫だ~」という状態では需給ができません。

また、病気やケガ、出産などによってすぐには働ける状態ではない場合も、需給ができません。その状態の際は、受給期間を延長しておいて、働ける状態になってから基本給付を受け取ることになります。

失業手当をもらうための具体的な手続きは?

まず住所地のハローワークで離職の確認を受け「求職の申し込み」をします。「仕事はリクナビNEXTで探すから大丈夫♪」と言わず、ハローワークでも求職の申し込みをする必要があるのです。その際、離職票、雇用保険者被保険者証、印鑑、身分証明書、マイナンバー、写真などを持参します。受給資格が決定すると、雇用保険受給説明会の日時と失業認定日が指定されます。

求職の申し込み後の7日間は待期期間で、基本手当の支給はありません。さらに自己都合による退職の場合は3か月間は基本手当が支給されないという給付制限の期間が存在します。

この期間を経て、指定された失業認定日(4週間に1日)にハローワークに行き、直前の28日間について失業していたか(=求職活動を行っていたか)どうかの認定を受けます。この間に2回以上の求職活動が必要となりますので注意してください。

会社から遠回しに退職を勧告された…それでも自己都合退職になる?

正当な理由がなく自己の都合で退職した場合には、失業の状態を自分が作り出したことになりますので、失業手当の受給において不利になる点が多々あります(金額、受給開始までの期間など)。しかし、自分から退職を申し出た場合であっても、退職について「正当な理由」があると客観的に認められる場合には、そういった不利な点がなくなる、もしくは減ります。

このケースにあるように「直接、間接の退職推奨に応じて退職した場合」も、正当な理由にあたるとされています。ただしここで問題になるのは、遠回しに退職を推奨された事実をどのように証明するかです。

会社と本人の間で主張が食い違うことも予想されますが、まずは求職の申し込みの際に、退職に至った経緯などを文書や口頭で説明しましょう。また、事実を証明できるものがあれば提出してください。退職が客観的に見てもやむを得ない、実際に退職勧告があったとハローワークが認めれば、給付においての不利な点がなくなります。

退職した会社が雇用保険に加入していなかった…失業保険は受け取れない?

創業間もない企業などではたまに耳にするケースです。いくら規模が小さいからと言って、雇用保険は必ず入る必要があります。それこそ、個人事業主であっても、従業員を1人でも雇い入れた会社・個人事業主は、雇用保険の適用事業所となります。雇用保険の適用事業所は、従業員を雇用保険に加入させる義務があります。

雇用保険に加入できる条件は、①1週間に所定労働時間が20時間以上、かつ②31日以上の雇用見込みがある、場合です。31日以上の雇用見込みということは、例えば「試用期間3か月」といった場合でも雇用保険には加入が必要なのです。

この加入手続きは、通常は会社が行いますが、創業間もないベンチャーや小規模な事業所を中心に雇用保険に加入していないケースもありますので、ご自身でも念のため確認しておくとよいでしょう。勤め先の会社を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に申し出て、被保険者であることの確認、つまり、雇用保険に加入しているかどうかの確認をすることができます。

辞めた後に雇用保険に入っていなかったことに気づいた!手遅れ?

事前確認しておくことが望ましいとはいえ、退職後に気づくこともあるでしょう(私の知人でもそういったケースがありました)。

退職後に気づいた場合、ハローワークに申し出ることによって、過去2年までさかのぼって雇用保険の加入期間として認められます。なお、雇用保険料が給与から天引きされていた場合は、2年を超えた期間についても雇用保険の加入期間として認められます。給与の天引きは、給与明細や源泉徴収票などを参照しましょう。

就職した後に、雇用条件、就労条件に嘘があったので退職したい、失業保険は受け取れる?

地方の事業主には「雇ってやっている」という意識が強かったり、「一旦雇用してしまえばこちらの立場が強い」と思っているケースが多々あります。また、コンプライアンスの意識が低かったり、そもそも法律を知らないことさえあります。そんな時たまに耳にするのがこのケース。「正社員として採用してもらったのに、就職した後に正社員ではないといわれた」などのひどいケースも存在します。

こういったケースでは、一刻も早く退職して次の仕事を探したいものですが、失業給付の条件は(自己都合退職の場合)、離職前2年間に12か月以上の雇用保険の加入期間が必要です。

「え~!一年も辞められないの!?」

と心配になるかもしれませんが、一般の離職者ではなく、倒産や解雇などで失業した人たちと同様、特定理由離職者だと認められれば6か月の勤務を持って、失業保険の受給資格を得ることができます

特定理由離職者だと認められるかどうかは、ハローワークの事実確認によって認定されるか否かによります。雇用条件や就労条件に嘘があったとの場合は、①嘘があったことを証明すること、そして②その嘘が特定理由離職者の要件に当てはまるかどうか、の2点が必要になってくるでしょう。特に後者についてはデリケートな程度問題になることが多いため、辞める前に事情をハローワークに説明して見解を聞いておく必要があるでしょう。

病気、出産、介護での退職。雇用保険の基本手当は受給できる?

病気や出産、介護のための退職はいつでも働けるという状態ではないため、基本手当の支給はありません。基本手当の受給期間は、原則として退職日の翌日から1年間です。しかし、働きたくても病気やケガ、妊娠、出産などですぐには働けない状態になるときもあります。このような場合、1年間の受給期間内に、所定給付日数の基本手当をもらえないことがあります。あるいは、まったく受給できないまま、1年間が過ぎてしまうかもしれません。

そこで、病気やケガ、妊娠、出産、3歳児未満の育児、親族の介護などが理由で30日以上働くことができない場合は、受給期間を最長3年間延長できることになっています。つまり、原則の1年間を足すと、トータルで4年間となります。

早めにハローワークに対して受給期間延長の申請書に離職票を添えて手続きを行いましょう。所定日数を超えると延長ができなくなるケースがあります。

パートや派遣社員でも失業保険はもらえるの?

パートタイマーや派遣社員でも、一定の条件を満たせば雇用保険に加入できます。雇用主は会社の都合や、正社員でないという理由で、加入を拒むことはできません。1週間に平均して20時間以上働いていること(週5日であれば1日4時間ですね)、31日以上雇用される見込みがあること、これらの条件を満たしていれば、事業所は労働者を雇用保険に加入させる義務があります。事業者が加入していなかった場合も、過去にさかのぼって加入していたことにすることが可能です。

雇用期間に関しては、雇用契約書に30日以下での雇用であると明記されている場合などを除けばほとんどが該当するでしょう。

派遣社員は雇用元の事業所で加入

派遣社員は、派遣元の事業所で雇用されているため、雇用保険もそちらで加入します。いわゆる「登録型派遣労働者」は派遣元に登録し、派遣先との契約が決まった時点で期間の定めのある雇用契約をしますが、この場合も週20時間以上、31日以上雇用見込みを満たせば雇用保険に加入ができます。

一方、派遣労働者の雇用契約期間が満了した時は、派遣元事業主が派遣労働者に対して、雇用契約期間が満了するまでに次の派遣就業を指示しない場合は、派遣労働者が同じ派遣元事業主の下での派遣就業を希望しない限り、雇用契約期間が満了した時点で雇用保険の被保険者の資格を喪失します。

派遣就業を希望している場合は、原則として契約期間満了後1か月間は被保険者資格を継続できます。

また、契約期間満了時から1か月経過した時点において、次の派遣先が確定している場合には、次の派遣就業が開始されるまでの間、被保険者資格を継続することができます。

失業中に働くと基本手当はもらえない?

失業中の人が雇用保険から失業給付(基本手当)を受けるには、4週間に1回、ハローワークに行って失業している状態であるという認定を受ける必要があります。その際に提出する失業認定申告書には、求職活動の状況や失業期間中に就職や就労をしたか、内職やその手伝いをしたかについて記入が必要です。

就職または就労については、試用期間、研修期間も含みますし、自営業を営んだ場合、パートアルバイトや派遣社員で働くことも含まれます。原則としては1日4時間以上の労働時間の場合は「就職または就労」した、とみなされます。自営業など、ハローワークの職業紹介にすぐに応じられない場合も就職とみなされます。

これに対して「内職や手伝い」はやや基準が緩く、就職、就労とは言えない規模の収入や労働時間である場合を指します。具体的には、他人の仕事の手助けやボランティア活動をした場合です。原則として労働時間が1日4時間未満です。

どちらにしても不正受給をしてしまうと万が一の時に大変なことになるかもしれません。正しく申告しましょう。

通院中に退職したら、健康保険は利用できる?

退職した直後、まだ新しい就職先が決まっていなかったり、決まっていても保険証ができていなかったり、ということがあります。そんなときは「任意継続被保険者」を選べば、退職しても健康保険の資格を喪失した後も、引き続き2年間は個人で健康保険の被保険者になることができます。