働かないし生産性も上がらない日本、若者と女性に見捨てられた会社は滅ぶかもしれない

日本の労働市場は、人手不足、というより労働量不足、に陥っています。しかもこの労働量不足、改善の兆しはほぼなく、さらに深刻化していくことが明らかです。この労働量不足に対応できない企業は、超ブラック化を経て、いずれ市場から消えていく運命にあります。

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日本の「総労働時間(=総労働量)」が激減していることを知っていますか?労働人口と、一人当たりの労働時間を掛け合わせた、国内の総労働量を見てみると、1990年をピークに右肩下がり。今現在ですでに25%ほど減っており、2030年には30%、2050年には50%も減ることになりそうです。

労働時間というインプットが減っているのに、アウトプットとなる業績を落としたくないのであれば、生産性を上げるしかありません。生産性を上げられない企業では、インプットである労働時間によって業績を確保するしかありませんが、人手がそもそも足りないので、一人当たりの業務量を増やす超ブラック化が待っています。

生産性が低い会社に未来はない…割とマジで

生産性が低い会社に未来はない…割とマジで

労働量不足は超長期的に固定化された構造

皆さんご存知、働き手減少問題

人口減少も高齢化もよくニュースになっていますので、働き手が減っていることはなんとなく皆さんご存知かと思います。事実、生産労働人口は下記のような推移となっています。(クリックで拡大)

生産労働人口の推移

生産労働人口の推移

ずっと右肩上がりだった生産労働人口は、2000年を目前に減少に転じます。現在は、およそ40年ほど前と同じくらいの水準まで減りました。ピーク時と現在を比較すると1000万人以上減っており、人手不足になるのは当たり前だと言えます。

1人あたり労働時間は2400時間から1800時間以下に

深刻なのは、人口だけではなく、1人あたりの労働時間も減っているため、ダブルパンチになってしまっていることです。ピーク時は年間2400時間以上働いていたのに、今は1800時間以下。実に25%以上も減っています。昔の人はよく働いたんですね。

労働人口と1人あたり労働時間の推移

労働人口と1人あたり労働時間(2015年以降は予測値がないため同水準で推移すると仮定)の推移

実はもっと減る「1人あたり労働時間」

実は政府ははるか昔から、労働時間を減らそう減らそうと努力をしてきました。年間労働時間の目標だった2000時間、そして1800時間を達成し、今後さらに減らしていく方針です。そのため、上のグラフでは2015年以降も同じ水準で仮定していますが、実際はより一層減ると考えられます。

減り続ける「国内総労働量」

では「1人あたり総労働時間」に、働ける人口である「生産労働人口」を掛け合わせて、「総労働量」について考えてみましょう。下のグラフの青い棒線を見てください。

人口と時間をかけあわせた「国内総労働時間」推移

人口と時間をかけあわせた「国内総労働量」(青い棒グラフ)推移

当たり前ですが、1人あたり労働時間は減るわ、労働人口は減るわで、掛け合わせて一層早く減っていることがわかります。実際は2015年以降も1人あたり労働時間は減るでしょうから、総労働量はもっと減ることになるでしょう。

総労働量のピークは1990年。まさにバブル真っ只中。当時と比較すると、総労働量は20%以上も減っていることがわかります。労働人口の減少は10%程度ですが、企業が確保できる労働量はその倍以上減っているのです。

インプットの量が減っているのに、その質も上がってない

ここまでで、日本国内に存在している労働量が激減していることがわかりました。しかし、生産性が高ければまだ救いがあろうというもの。日本生産性本部による、生産性の推移のグラフを見てみましょう。

graph04

2000年以降、1人あたりで見ても、時間あたりで見ても、労働生産性は横ばいであることがわかります。20%も減ってしまった労働量を、質で補うことはできていない、と言えそうです。

若者と女性に人気のない会社に未来はない

これまで、労働人口が減り、労働者あたりの労働時間も減るため、労働量全体が減っていくことをご説明しました。かつ生産性が上がっていないわけですが、今後は最低限の労働量を確保しつつ、その生産性を上げられる企業が生き残っていくことになるでしょう。

若者は今後ずっと「超希少資源」だ

労働人口が減る中でも、特に若者の減少が顕著です。下記は、1990年と2016年の人口構成比の比較です。1990年代には30代以下が半分以上だったのに、2016年には逆転し、約6割が40代以上になっています。構成比通りに採用していたとしたら、職場はぐっと高齢化していることになります。

1990年と2016年の人口構成比比較

1990年と2016年の人口構成比比較

現在、すでに職場の半数以上は40歳以上になるのが自然な構成比になっています。高齢化は社会全体の問題でもあり、かつ職場という狭いコミュニティでも起こっている問題なのです。

実際、年代別の人口は、2025年にかけて下記のように推移していきます。

2025年にかけて、職場の50代はむしろ増える

2025年にかけて、職場の50代はむしろ増える

日本がバブルで元気だった1990年と比較して、40代以上の数はほとんど変わらず、逆に39歳以下の人口はかなり少なくなっています。若者の採用難は今もかなり問題視されていますが、これからますます問題が深刻になることがわかります。10年後には、今より職場の高齢化は進むことになるでしょう。

職場に若者と女性が必要な理由

多様性を大切にしよう、女性が活躍しやすい職場を作ろう、というスローガンが掲げられることが増え、多くの人にとっては耳にタコ状態です。しかし多くの人がその目的を勘違いしているように思えます。多くの人は「みんなが働きやすく、人権に配慮した優しい職場にしなきゃ」と思っているのではないでしょうか。実際に何のためにそういったスローガンを抱えているかというと、人権的なフェアネスのためではなく、経済的合理性のためです。

今後、若者や女性、そして外国人に人気のない職場は「40歳以降のおじさんばかりの職場」になっていきます。そこは非常に多様性の低い、閉じられた空間になりやすいことが想定されます。

一方で、若者、女性、外国人など、多様性を重視したチーム作りは、企業の生産性、つまり収益を向上させる効果があることが、様々な事例や学術研究から明らかになっています。

米国フォーチュン500を対象にした調査(企業の業績と女性役員の比率)…厚生労働省資料より

米国フォーチュン500を対象にした調査(企業の業績と女性役員の比率)…厚生労働省資料より

女性の役員比率が高い会社は、そうでない会社に比べて、利益率がおよそ1.5倍の水準であることがわかります。

女性が働きやすく、評価されている会社というのは、大きく下記の点でほかの企業より優れています。

  • 労働時間ではなく成果で評価する制度、マインドがある
  • 働きやすい制度、マインドがある

どちらに優秀な人材が集まるかは議論の余地がないでしょう。

逆に、会社にとって希少資源である若者、女性、外国人に目を向けず、採用難を一時的な「不況」のようなものだととらえて抜本的な対策をしない会社は、急激に高齢化が進み、さらに生産性が落ちていくことになります。その現場では、生産性の落ちを補うために、馬車馬のように働きまくる中高年男性の姿が…。こんなつらい未来像を実現にしないためにも、今後少なくとも皆さんが定年退職するまでは続くであろう採用難に、正面からしっかりと向き合う必要があるのではないでしょうか。