労働集約型のビジネスは「殿様商売化」しないと生き残れない

下記の記事にもあるように、日本は今後、さらに深刻な労働量不足に陥っていきます。

人が雇えない、特に若者が雇えなくなっていきます。一方で、労働集約型のビジネスの多く、特にサービス業は若者を搾取するかのような労働条件下に置くことで成り立ってきた側面があります。これは、若者が余っていた20年前までの考え方だと言えます。若者の労働力に頼ってきた多くのサービス業は、今後その在り方を大転換させる必要がありそうです。

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人手不足が深刻、もう同じような「便利」は提供できない

24時間営業をやめる店が激増

2016年、ロイヤルホストが24時間営業を完全に廃止。それに続いてファミレス大手の「すかいらーく」も深夜営業の縮小を発表。マクドナルドでも2年をかけて400以上の店舗で24時間営業を廃止。また、2014年には牛丼チェーン大手の「すき家」が、アルバイトスタッフが確保できないことを理由に店舗を閉鎖するという事態に。

人手が不足すれば、需給のバランスの問題で、人件費は上がります。人手をそもそも確保できないことに加えて、そもそも採算が合わなくなっている企業が多いと言えそうです。

宅配業者も受付を縮小か?

非常に便利なネットショップ。その便利さを支えるには宅配業者の存在が欠かせません。便利なネットショップの筆頭であるAmazonですが、佐川急便がそのAmazonとの契約を打ち切ったというニュースは業界に大きな驚きをもたらしました(2013年)。非常に大きな取引先を失った佐川急便ですが、SG(佐川急便)ホールディングス会長の栗和田榮一氏は、このことについて、下記のように述べています。

「結果としてライバル(ヤマト運輸)は、集配品質の低下と固定費が増加した。必ずこれまでの体制を見直すはずである」

目先の売上よりも、品質や人員体制を重視していた佐川急便。さすがの先見の明と言えそうです。

最近では、ヤマト運輸の労働組合が、集荷の縮小を求めて同社と協議しているというニュースも流れました。背景にはすべて、人手不足であることが挙げられます。

人手不足すぎて欠勤に対して「罰金」、コンビニの悲惨すぎる現状

東京都武蔵野市内のコンビニエンスストア「セブンイレブン」で、病欠したアルバイトの女子高生スタッフに対して罰金を科したことが大きなニュースになりました。欠勤1時間につき935円の罰金。これはこの店舗独自の制度であったそうです。

店舗側としては、人を手配できず、欠勤に対して代わりを見つけることができなかった苦渋の選択であったと言えそうです。24時間営業の代表格であるコンビニまでもが、24時間営業を廃止する日が来ることもそう遠くないのではないでしょうか。

水と安全がタダでも、「便利さ」は有料

人手不足で悩むサービス業が人を集めるには、労働条件を適正にすることが必要です。それは、単価アップによる給与アップか、労働時間を適正化することのどちらかになるでしょう。つまり、今までのように当たり前に「安くて便利」は両立されなくなるのです。

人手が必要で若者が多い業態は要注意

サービス業のほとんどが当てはまるのではないかと思いますが、それ以外の業種でも、人手が必要で、若者が多い業態は注意が必要です。サービス業以外だと、塾講師、コールセンターなどが当てはまります。今の人手不足は、来年はさらに深刻になるし、再来年にはより一層深刻になる、と考えておくべきでしょう。

時給はどんどん上がっていく、「時給1,000円」が高かった時代は過ぎた

下記は、東京都内の最低賃金額の推移です。毎年20円近く上昇しており、今や時給1,000円に迫る勢いであることがわかります。

このペースだと2020年前後で最低賃金は1,000円を超える

このペースだと2020年前後で最低賃金は1,000円を超える

今30歳以上の方たちは、時給1,000円と聞くと「まぁ悪くない金額では?」と感じるのではないかと思います。一方で現在は高校生のアルバイトであっても、932円以下のアルバイトは存在していません。昼間のアルバイトで時給1,000円、夜間は1,200円、という求人が郊外でも増えています。時給1,000円は、ごくごく当たり前の水準になっています。

「安さ」か「便利さ」を失っても選ばれるサービスであれ

これから先の日本、特に都市部では、安さと便利さを両立して提供することは非常に難しくなってきます。ほとんどの事業主が、安さ、もしくは便利さのどちらかを手放す選択を迫られることになるでしょう。安いサービスも、便利なサービスも、顧客には支持されることと思います。問題は、今までは思考停止で「安くて便利」が良いことだと考えて追及してきた経営者たちが思考を切り替えることができるか、にかかっているのかもしれません。